不妊は自己責任なのか

 不妊は自己責任だと思われることがあります。不妊で悩む当事者からすれば、そう思われるのは辛いものがありますね。人によっていろんな事情があるのですから、一概に自己責任だと言って突き放してほしくありません。妊娠は一人ではできないし、体のことは個人差があるので、思い通りにいかなくて当たり前です。しかし、不妊で悩んだ経験のない人から見ると、やはり「自己責任」と思えてしまうのはやむを得ないことかもしれません。それはなぜか分かると、案外心が楽になるかもしれません。

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子どもがいないことと引き換えに得たものが羨ましい

 20代で出産育児を頑張った人にとったら、30代後半や40代で子どもがいない人が羨ましい部分があります。子育てのためにやりたい仕事や遊びを制限したり、経済的に苦労したりした経験のある人たちは、子どもを産んだことによって諦めたことや我慢したことが山ほどあります。我が子の愛しさに関わらず、です。我が子の存在を考えると後悔することはないと自信をもって言える人でも同じです。

若くして妊娠できない病気を患ってしまった人には同情するけれど、高齢で妊活をしている人に対する感情は違います。高齢で不妊治療している人は、自分が諦めたものと得たものの両方を手に入れようとしているだからです。

公平であり当然、という気持ち

 羨ましいという気持ちを持っている人から見て、高齢で不妊治療している人は次のように感じられるのではないでしょうか。

自分の都合でぎりぎりの年齢まで選り好んだり自分のやりたいことを優先したりしてきたから不妊で苦労するのは自業自得なのに、いざ不妊となったら職場社会(保険診療)に甘えて子どもを得ようとしている、と。そうだとしたら、めちゃくちゃ得しているように思えます。欲しいものを全部手に入れようとしているのですから。

若いころから子育てをし、いろんなものを諦めてきた人、子育ての両立を頑張って来た人には、「不妊治療は大変」「お金がかかる」「辛い」と言われてもピンとこないかもしれません。むしろ「公平」「当たり前」だと思うかもしれません。「今まで楽しい思いをしたのだからそれくらい我慢しなよ」と。「治療してさずかれるのならそれでいいじゃん」と。

実際に迷惑をかけている事実があるなら仕方がない

 例えば職場の人だったら、急に休んだりされると迷惑がかかります。これは不妊治療をしている人が精神的に辛い思いをする理由の一つですね。通院のたびに何度も謝ったり、気を遣い続けるのは本当にきついです。

でも気づいてください。自分にとっては悩みでしかないことでも、人から見たら恵まれていると思われていることがあります。だから、「なんで私ばかりこんな思いをしなくちゃならないのだろう」と感じ続けるよりは、実は自分が羨ましがられる立場であると認識してみてはどうでしょうか。少し気持ちが楽になりませんか

まとめ

30代や40代で妊活をしている理由や、不妊治療をしている理由は、単一ではなくいろいろなことが絡み合った複雑なものです。妊娠の条件というのは、努力によって誰もが揃えられるものではありません。だから、一概に自己責任と言えることではありません

しかし、仕事と不妊治療を両立しようとしている人が、人に迷惑をかけるのは避けられません。そして迷惑がかかった人がイライラするのも仕方がありません。いろんな女性の背景を考えれば、高齢での不妊は自己責任だと思う人がいるのは無理のないことなのです。

だから、自分の辛さを人に分かってもらおうとするあまりに、「私って大変」オーラを出さないようにすることが大事です。火に油をそそぐことになってしまいます。ここは割り切って、高齢妊活のメリットや、不妊のメリットに目を向けてみませんか。

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