子どもがいない夫婦には、子どもがいる人とはまた違った幸せがあります。どちらの方が幸せであるかを比べることはできません。どんなことが幸せなのかを整理し、その幸せを味わうことに、現在の辛さから抜け出すヒントがあります。
自分のために時間を使える
子育て中の人にとっては喉から手が出るほど欲しいであろう「自分の時間」。不妊で悩む私たちはちっとも望んではいません。もう十分です。なかなか子どもができないことで持ててしまった自分の時間。満喫なんてできなくて、「いつまで続くの?この生活」と言いたくなります。
自分のために使える贅沢な時間なんてもういらないから、私は一刻も早く妊娠したいし子育てしたいのだけれど・・・。とは思いますが、やはり貴重な時間。
人生に深みを出すために、今日のこの時間も、先日のあの経験も、意味がないなんてことありません。
例えば、趣味に時間を使う、自分磨きをする、やったことがないことに挑戦する、資格を取る、夫婦の時間を過ごす、人を喜ばせるなど、いろんな時間の使い方ができます。
不妊治療を経験できるのはラッキー
人生の中で、不妊治療って誰にでも経験できるものではありません。望む望まない関わらず、すぐに子どもができた人にはピンとこない世界でしょう。近年、昔に比べて不妊治療がニュースになったり話題になったりしていますが、 不妊治療を経験した人にしか分からない感情が実はいっぱいあります。
大金をはたいても体質改善の努力をしても成就しない辛さとか、いつまで続くか分からない不安とか、友人の出産を喜べないみじめさとか。
不妊治療を経験した私たちは、同じ立場や似た立場の人を思いやることができます。妊娠することや出産することが当たり前のことではないと知れます。この理解はたぶん一生役に立ちます。
夫婦の絆を深められる
不妊じゃなかったらしなかった喧嘩もあるけれど、不妊じゃなかったらこんなに分かり合おうとすることはなかったかもしれない。もちろん子どもが産まれたら今よりはるかにぶつかったり話し合ったりするだろうから、子どもを迎える前に練習ができるのは悪くありません。
早くに子どもを授かった人からは、「結婚してから夫婦だけの期間がほとんどなく子どもができた。もう少し夫婦だけの期間を長く過ごしたかった」という声も聞かれます。結婚して子どもができるまでの期間が長い方が、離婚する割合が低いというデータもあるようです。
経験から得られるものは人それぞれ
子どもを持つ人が、不妊の人には感じることのできない幸せを感じているように、不妊の人もまた、子どもを持つ人には感じることのできない幸せを感じられるはずです。
でも「今だからできることをやらなきゃ」という気負いは不要です。今やっていることは既に全て今の自分だから経験できることですから。何歳の時にどんな経験をするかは人それぞれですし、人と同じ経験でも、その経験から与えられるものは人によって違います。
あなたが不妊で悩んでいる期間に経験してきたことは何一つ無駄ではありません。妊娠出産が、人生のあらゆる経験の中で一番価値が高いという考え方はやめましょう。
まとめ
なかなか子どもができないのは、本当に辛いことが多いけれど、少し離れたところから見てみると、幸せなこともたくさんあります。
なかなか赤ちゃんがお腹にやってこないからこそ、子育て以外のことに使う時間がたっぷりあり、不妊治療という貴重な経験ができて、子育て中の夫婦に負けないくらい夫婦の絆を深められ、その全ての経験が唯一無二の価値があります。
悲観ばかりせず、恵まれているという気持ちを忘れないでいようと思います。
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