不妊うつに陥った妻を、不妊うつから抜け出させるにはどうしたらよいのでしょうか。また、妻を不妊うつにさせないためには、どういうことに気をつければよいのでしょうか。男性が気づきにくいことを、ここでお伝えします。
不妊治療中のメンタルを本人だけの力で乗り切るのは難しい
「私はこのままずっと妊娠できないかもしれない。」「子どものいない人生になるかもしれない。」「きょうだいをつくってあげられないかもしれない。」
その恐怖がどれくらいのものか想像がつきますか?
「子どもがいない人生も、それはそれでいいじゃない。」と思われる方も多いのではないでしょうか。その気持ちを旦那様が持っていることは、奥様にとっても救いになります。人生、子どもがすべてじゃないと思えていることは素晴らしいことです。
しかし女性である奥様の心は複雑です。子どもがいない人生(または出産するという経験をできない人生、理想の人数を産めない人生)を受け入れることは簡単ではありません。妊娠検査薬が陰性であるたびに、最悪の人生に近づく気がしてとても悲しいのです。
しかも、その悲しみと恐怖で頭がいっぱいになっている時に周囲の人たちの妊娠や出産の情報が次から次に耳に入ってきます。自分以外の人が妊娠したという情報を聞くと、余計に自分が惨めに思えてくるのです。しかも、何の苦労もせずに授かれる人は多いので、その人たちと比べて自分はどうしてダメなんだろうと思えてきます。その人たちが多少の苦労をしていたとしても、自分よりも少ない期間で妊娠できる人には、嫉妬の気持ちを抱いてしまいます。
それは、それほどまでに強く欲しいと願っているからこそです。それほどまでに自分が授かれないことを辛いと感じているからなのです。そして、自己嫌悪に陥るというトリプルパンチ。
周りの妊娠や出産だけでなく、どんどん大きくなる子供の姿にもショックを受けます。こないだ産まれた子がもう〇歳?!もう小学生…?!周りはどんどん前に進んでいるのに、自分だけ取り残されていく感じがします。人の子はどんどん成長するのだから、このまま生きていれば逃れられない…。生きていることさえ苦痛になってきます。
このようになってしまったぼろぼろの精神状態は、簡単に乗りきれるものではありません。
本人だけの力で乗り越えるのは難しいので、奥様を大事に思う気持ちがあるのであれば、絶対に突き放さないでください。
では、そのような精神状態の奥様に対してどのような行動をとればよいのでしょうか。
小さな協力を積み重ねて、できることをやろうとする気持ちを見せる
妊活や不妊治療の成功に欠かせないのが、夫婦一緒に取り組んでいるという意識です。お金のことを含めると奥様だけが頑張っているわけではないと思いますが、今以上にできることは本当にないのか考えていただけたら嬉しいです。
不妊治療においては、確かに女性に比べて男性にできることは限られています。しかし、女性の負担を減らすための行動はいろいろとあります。
男性ができることは、例えばこんなことです。
一つ一つは小さなことですが、こういった行動によって「一緒に頑張っている」という意識が見えるので、奥様の精神的な負担の軽減につながります。旦那様の心遣いの積み重ねで、奥様のストレスが和らぎ、「どんなに辛くても頑張ろう!」と強い気持ちになれます。
話をしっかり聞く
ネガティブな気持ちを受け止めて、しっかり聞いてあげることが大切です。解決策の提案など決していりません。解決策などないのですから。あふれてくるネガティブな気持ちを受け止めてもらえなければ、女性は自分ひとりで抱え込むことになります。
妊活はデリケートなことなので相談できる相手はなかなかいません。唯一の当事者同士である旦那様に気持ちを聞いてもらえなければ、女性はショックを受け一人で戦っている気持ちになります。反対に、優しく受け止めてもらえると、ストレスが軽減します。くじけそうになっても前に進むことができます。
不妊治療をしている場合、女性は何度も何度も通院し、恥ずかしくて痛い診察を受けます。仕事をしている場合は、職場に頭を下げ、同僚に気を使い、何とか時間を作って通院します。通院の負担が多いので、頭の中が妊娠のことでいっぱいになるのは免れません。通院がない日も、薬を朝昼晩忘れずに絶対に飲むなどの行動を完璧に行うのは、簡単なようでいて簡単ではありません。常に緊張して気を張った状態です。
そんな奥様の状態をまず知ることからです。
スマホを置いて、「今日はどんなことがあった?」、「大丈夫だった?」、「薬はどんなのがあるの?」など声をかけて、奥様が話しやすい雰囲気を作ってください。そして、奥様が話しだしたら、じっくりと聞いてあげてください。
今この瞬間の幸せを感じさせる
もう一つ大事なことは、幸せを感じさせることです。精神的にまいっている時には、下がった自分の気分を自分自身で上げることができません。だから、旦那様の助けが必要なのです。
例えば、こんな行動を心がけてみてください。
「このまま子どもができなかったらどうしよう」という恐怖や悲しみを取り除いてあげられるのは旦那様だけです。「今のままでも幸せでしょ?」と聞けるくらいに、妊娠以外の幸せを感じさせてあげてください。
そうです。「今のままでも幸せ」と思えれば、不妊メンタルからは抜け出せるのです。
まとめ
不妊治療中のメンタルを本人だけで乗り越えるのは、悩みの特性上、とても難しいことです。奥様が妊活・不妊治療を頑張り続けるためには、旦那様の協力が不可欠です。そういう意味でも、子どもは一人では作れないのです。
まずは知ることからです。旦那様が思っている以上に、奥様は精神的負担を抱えていることを知ってください。
そして、小さな協力や心遣いを積み重ねて、夫婦二人で乗り越え、最終的に幸せをつかみましょう。
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